ばらいろのウェブログ(その3)

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日本軍「慰安婦」問題についてのパネル展示(10/8・レインボーフェスタ)

 10月8日(土)に、大阪の扇町公園で「レインボーフェスタ!」が開催されます。
 近年は私は、「天皇制社会日本に抵抗するクィア有志」「多数派による場の私物化を許さないクィア有志」などの団体名でブースを出してきました。今年は、日本軍「慰安婦」問題についてのパネル展示を行います。

お詫びもしてお金も渡したのに、どうしていつまでも解決しないの?と思うあなたにも知って欲しい。日本軍が実際には何をしたのかを。

 最近感じるのは、一緒にセクマイ界隈で活動する人達でさえ、日本軍「慰安婦」問題については「よく知らない」という人が多いこと。教科書からも記述が削除されてしまい、ネットでは「慰安婦は売春婦だった」というデマが溢れ、検索しても虚偽の情報が目立ってしまう状態。大手メディアも問題を掘り下げて報道しなくなってしまっていて、ギャップを感じることが何度もありました。


 1990年代、性的マイノリティーの社会運動が大きくなっていった時期ですが、日本軍「慰安婦」問題も、1991年の金学順さんの名乗りでで、大きく社会問題化しました。これを受けて当時は大手メディアでも元慰安婦被害者の証言をはじめ、日本軍「慰安婦」問題についての情報が報道されていました。そして1993年、日本政府も公式に日本軍の関与と強制性を認めて「お詫びと反省」を表明しました。2000年には「日本軍性奴隷制を裁く2000年女性国際戦犯法廷」も開催され、「天皇裕仁は有罪」との判決も出されています。
 ですので、日本軍「慰安婦」問題についての運動を直接担ってきたわけではない私でも、最低限必要な情報には触れながら育って来れました。性をテーマにした当時参加していたグループでも日本軍「慰安婦」問題を取り上げたこともあるくらい、いろんな場所で関心も持たれていました。


 しかしいま、特に若い人達は、日本軍「慰安婦」問題について十分に知らされてきませんでした。「歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意(河野談話)」は、実際には実践されてこなかったのです。
 でもそれは逆に、ちゃんと事実関係を知ってもらったら、若い人達にも分かってもらえる(可能性がある)ということ。そう思って、このパネル展を、レインボーフェスタで開催しようと思います。

日本軍『慰安婦』問題の展示について

 「セクシュアリティの多様性」を実現しようとする時、それは二つの方向性から考えられます。一つは、個人が望むことができること。もう一つは、個人が望まないことを強いられないこと。性的な暴力や強かんそして日本軍『慰安婦』制度を取り上げることは、その後者の立場から「セクシュアリティの多様性」を扱うことになります。言うまでもないことですが「意に反する性行為を強いられないこと」は、「セクシュアリティの多様性」を実現するためには必要不可欠です。
 またしばしば誤解されていますが、日本軍『慰安婦』制度が存在したことや、日本軍『慰安婦』制度が「当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」であり日本政府に責任があることは、「一部の野党の主張」とか「極端な人の偏った主張」などではなく、現在の安倍政権を含む自民党政権でも何度も公式に確認されてきた「社会的合意」です。
 ところが、一部勢力が「慰安婦」問題自体を「なかったこと」にしようと尽力し、報道も減り、今では教科書からも記述が削除されてしまい、基本的な事実関係さえ知らない若い人も増えています。
 今回のパネル展示は、「お詫びもしてお金も渡したのに、どうしていつまでも解決しないの?」と思ってしまう人にも、まず日本軍が実際には何をしたのかを知って欲しい、との思いから開催します。「慰安所は、誰が、どのような目的で作ったのですか?」「『慰安婦』は、誰が、どのようにして集めたのですか?」「誰が、どのように管理・運営したのですか?」などの疑問に分かりやすく答えるパネルです。
 日本軍「慰安婦」問題は、男性中心社会で女性が受ける性暴力の問題であるだけではなく、朝鮮人差別や植民地主義など様々な問題が重層的に重なった課題です。私はこの問題を、加えて、セックスワーク嫌悪や異性愛主義・モノガミー主義にも加担しない形で考えることが大切だと思っています。
 意に反して性行為を強いられることのない社会を創り、セクシュアリティーの多様性を実現するためにも不可欠な取り組みに、ぜひご期待ください。
(フェスタ実行委員会に提出した企画書から引用)

参考資料:日本政府の公式見解

日韓両外相共同記者発表(平成27年12月28日)抜粋
(1)慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している。


元慰安婦の方々に対する小泉内閣総理大臣の手紙(平成13(2001)年)抜粋
いわゆる従軍慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題…私は、日本国の内閣総理大臣として…心からおわびと反省の気持ちを申し上げます。…わが国としては…過去の歴史を直視し、正しくこれを後世に伝えるとともに、いわれなき暴力など女性の名誉と尊厳に関わる諸問題にも積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。


河野内閣官房長官談話(平成5年8月4日)抜粋
今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。…
…われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。

お願い

レインボーフェスタ!の当日、パネルの設営から店番、撤去まで、人手が必要です。また、ブース代+パネル代+送料などで5〜6万円程度かかる見込みです。 当日のお手伝いや、ブース出展へのカンパという形で、ブース出展を応援して下さい!ぜひあなたの力を貸して下さい。


●お手伝い頂ける方は hip【アットマーク】barairo.net までメールか、090-1156-3039に電話(番号通知で)をお願いします。
●カンパ頂ける方は以下まで送金下さい。
  銀行名 ゆうちょ銀行
  店 名 四四八(ヨンヨンハチ)
  店 番 448
  種 目 普通預金
  口 座 2392398
  名 義 ヒビノ マコト