ばらいろのウェブログ(その3)

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朝鮮学校に対する嫌がらせに関する京都弁護士会の会長声明


京都弁護士会の会長が声明を出しました。転載します(記事末尾に)。


以下、ひびののコメント。
●声明の冒頭で、在特会のメンバーの発言をちゃんと拾って具体的に確認することから始めているのが好感。さすが弁護士!
●この声明も、12月の事だけを問題にしている。1月の合法的なデモをも批判するのが必要な気がする。
●「憲法・法律・条約」を根拠にして批判するのではなく、ちゃんと12月の事件を地の文で自分で批判した上で、かつその事件が「憲法・法律・条約」に照らしても問題がある、という論理構成になっているのは、好感。
●ある事項が「不当であるかどうか」ということと、「それを犯罪化すべきかどうか」ということは、イコールではありません。「ヘイトクレイムだから」「憎悪犯罪だから」いけない、というのは、ホントは「それが不当であることの理由の説明」にはなっていないのに、そういう言い方が一部で流行っているのが私は残念です。いま日本で必要なことは、在特会のような言動が不当であるということについての日本社会の内部における合意・多数派の形成であって、その理由の説明や説得・話し合い・合意形成のプロセスにコストをかけることだと思います。それをを飛ばして、「在特会はヘイトクレイムだ」「憎悪犯罪だ」という結論を「自明の前提」「理由の説明の要らない正しい事項」としてオウムのように繰り返したり押しつけたりするのには(特にそれが在特会からの直接の被害者以外から言われるのには)共感できません。


【参考】12月に在特会朝鮮学校に押し掛けてきた時の動画(在特会側の撮影)
※ほとんどヤクザ。威圧的表現多数です、
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朝鮮学校に対する嫌がらせに関する会長声明」

(2010年1月19日)


1 2009年(平成21年)12月4日(金)午後1時頃、京都市南区にある京都朝鮮第一初級学校校門前において、授業中に、「在日特権を許さない市民の会」等のグループ数名が、「朝鮮学校、こんなものは学校ではない」「こらあ、朝鮮部落、出ろ」「お前らウンコ食っとけ、半島帰って」「スパイの子どもやないか」「朝鮮学校を日本から叩き出せ」「北朝鮮に帰ってくださいよ」「キムチくさいねん」「密入国の子孫やんけ」などの罵声を拡声器等で約1時間に渡って同校に向かって大音量で浴びせ続けるという事件があった。その際には、公園に置いてあった朝礼台を同校の門前まで運んだり、門前に集まって門を開けることを繰り返し求めたり、公園にあったスピーカーの線を切断するなどの行為も行われた。


2 このグループは、同校に隣接する勧進橋児童公園の使用を巡って、同校を批判しているようである。
  しかし、今回の行為は、公園の使用状況に対する批判的言論として許される範囲を越えて国籍や民族による差別の助長・煽動に該当するものであり、このような嫌がらせや脅迫的言動はいかなる理由であっても決して許されず、在日コリアンの子どもたちの自由と安全を脅かし、教育を受ける権利を侵害するものである。同時にこれらの行為は、憲法第13条及び世界人権宣言第1条・第2条・第3条をはじめ、国際人権規約人種差別撤廃条約子どもの権利条約などにおける人の尊厳の保障及び人種差別禁止の理念及び規定に反する。


3 これらの嫌がらせや脅迫的言動は、朝鮮学校に通う子どもたちやその家族、朝鮮学校関係者など在日コリアンに不安と恐怖を生み出しており、国籍や民族による差別をなくすための早急な対策を講じることが必要である。インターネット上で公開されている動画を見る限り、これらの行為は違法な行為に該当する可能性があるので、警察において必要な対処をすべきである。
  当会は、前記憲法及び国際人権法に基づく責務として、各関係機関に対して、国籍や民族が異なっても、何人も差別を受けることなく安全・平穏に生活し、教育を受ける権利を保障し、そのための方策を講じ、実現することを要請する。


  当会は、今後、国籍や民族の異なる人々が共生する社会の実現に向けて、いっそう積極的に取り組む決意である。


以 上


   2010年(平成22年)1月19日


京都弁護士会        

会長 村 井  豊 明


http://www.kyotoben.or.jp/siritai/menu/pages_kobetu.cfm?id=460