ばらいろのウェブログ(その3)

ひびのまことの公式サイト→ https://barairo.net/

「パレスチナではレズビアンが殺されている」にどう答えるか

関西クィア映画祭では、春のミニ上映会を開催します。
日本中を探してもここでしか取り扱わない貴重なテーマ!
せっかくの機会をお見逃しなく!

パレスチナではレズビアンが殺されている」にどう答えるか

イスラエルによる占領にも、ホモフォビア(同性関係嫌悪)にも、反対するために


●日 時:2009年5月16日(土)12:45〜17:30
●会 場:京都大学・文学部新館2階・第3講義室
       市バス「百万遍」「京大正門前」から徒歩5分
       京阪「出町柳駅」から徒歩20分
※2008年5月に開催された「第1回京都トランスジェンダー映画祭」の会場です。
※極めて分かり難い場所なので地図を印刷してご持参下さい。
●入場カンパ:500円


●プログラム(予定)
12:45 開場
13:00 【基礎講座】イスラエル/パレスチナ問題ってなぁに?(60分)
14:15 【映画上映】「0メートルの隔たり」(89分)
16:00 【提案と意見交換】「パレスチナではレズビアンが殺されている」にどう答えるか(60分)
17:30 閉会予定


http://kansai-qff.org/2009/0516/

●内容
【基礎講座】イスラエル/パレスチナ問題ってなぁに?

 非暴力直接行動を掲げてイスラエルによる占領に反対するNGO「国際連帯運動」に2002年に参加し、イスラエル軍に身柄拘束されたひびのが、その経験を踏まえて、そもそもの問題がイスラエル政府による侵略・占領・封鎖にあることを解説します。
(※この問題が初めての人のための基礎講座。「もう分かっている」という方は、この後の映画からお越し頂いても構いません。)
パレスチナ/イスラエル問題そのものについて知りたい方は、当企画の2日前の5/14(木)に同じ会場で開催される広河隆一さんの講演会(http://civilesociety.jugem.jp/?eid=1270)もオススメです。

【映画上映】「0メートルの隔たり」

 「0メートルの隔たり」は、パレスチナ人とイスラエル人の男同士・女同士のカップルを映したドキュメンタリー。監督の祖父母がイスラエル建国運動に関わっており、その当時撮影された映像もおりまぜつつ、セクシュアリティーそれ自体よりは、イスラエルによる占領下でのカップルの日常を描いている。各個人の置かれる政治的背景が大きく異なっている2組の同性カップルを通して、「個人と個人」「個人と社会」の複雑な距離感と、個人の生き方の選択を、感じさせ考えさせる映画。
(英語題「Zero Degrees of Separation」/監督 Elle Flanders /89分 /2005 /カナダ /英語・ヘブライ語アラビア語

【提案と意見交換】「パレスチナではレズビアンが殺されている」にどう答えるか

 イスラエルの占領に反対する運動が、もし「敵のことは悪いところしか見ずに、仲間のことは多少の問題にも目をつぶる」という態度をとっていると、イスラエルでは(パレスチナ人以外の)LGBTの権利が法的にも一定保護されている事実や、パレスチナ社会における厳しい同性関係嫌悪の存在が不可視化されてしまいます。それは結果として、パレスチナ社会の中のマイノリティーである性的少数者を一層困難な状況に追い込みます。
 「誰の味方か」「どちらの側か」のような単純化したアプローチではなく、イスラエルによる占領にも、世界中の同性関係嫌悪(ホモフォビア)にも、それぞれに反対するということがどういうことか。皆で考える場を持ちたいと思います。

●企画趣旨

 イスラエル軍のガザ侵攻が続く今年1月、23日〜27日に大阪梅田のヘップホールで、「性をテーマとした映画祭」である第4回関西クィア映画祭が開催されました。世界中が注視する中で公然と繰り広げられるイスラエル軍の殺人と破壊行為に強い怒りを覚えていた私は、その映画祭の会場に以下のポスターを掲示しました。


追悼
No Pride In The Occupation
性を理由とした暴力がなくなるまで。
性に関わりなく人の命を奪う
戦争と占領がなくなるまで。
イスラエルによる、今も続いている、ガザ地区への
侵攻・占領・封鎖に抗議します。
ひびの まこと


 すると、観客としてきていたイスラエル人から意見が寄せられました。いわく、ガザから発射されている数千発のミサイルに抗議しないのはなぜか。パレスチナではゲイたちが死に至ることもある身体的な虐待を受けていて、それから逃げるためにイスラエルに来るゲイもいる。可視的で活動的なゲイコミュニティーがあり、法律によっても守られている中東で唯一の国であるイスラエルが、クィア映画祭において、まるで人権の侵害者であるかのように表現されているの見て、皮肉に思った。などです。


 実は私が2002年にパレスチナ/イスラエルに行った時にも、同じような経験をしました。占領に反対するある集会会場で、私は、占領に反対すると同時に性的少数者の権利をも訴えるチラシを配っていました。すると、集会に反対するために来ていたイスラエル国旗を持った正統派の人達にこう言われたのです。「イスラエルではゲイの権利が守られている。しかしパレスチナの村ではレズビアンが村人に殺されている。あなたは何故そんなパレスチナの味方をして、イスラエルを非難するのか!違うじゃないか!」


 わたしは、イスラエル軍によるパレスチナへの侵略・占領・封鎖に反対です。しかしだからといって、パレスチナの社会において性的少数者が殺されることをやむを得ないと考える訳ではもちろんありません。
 「誰の味方か」「どちらの側か」のような単純化したアプローチではなく、イスラエルによる占領にも、イスラエルパレスチナを始め世界中にある同性関係嫌悪(ホモフォビア)にも、それぞれに反対するということがどういうことか。中東地域唯一の性的少数者のパレードにおいて「占領が続く今、カラフルなお祭をすべき時ではない」と訴えて黒ずくめ衣装で参加していたクィア系グループ「ブラック・ランドリー」の主張も参考にしつつ、皆で考える場を持ちたいと思います。


ひびの まこと(関西クィア映画祭)

参考リンク

●映画祭に寄せられた意見
 http://kansai-qff.org/2009/J.html
●ブラック・ランドリー
 http://www.blacklaundry.org/eng-index.html
●映画「0メートルの隔たり」
 http://kansai-qff.org/jimaku/sakuhin/zero-degrees/
●ひびの まこと  http://barairo.net/


主 催:関西クィア映画祭
    http://kansai-qff.org/
問合せ:20090516【at】kansai-qff.org
    090-1156-3039


※企画の当日スタッフも募集中です。
※転載・転送を歓迎します。
※本企画の情報は「http://kansai-qff.org/2009/0516/」にも掲載されています。