ばらいろのウェブログ(その3)

ひびのまことの公式サイト→ https://barairo.net/

相手の家の中に入ってはいかんです


 身体に危害を加えられる可能性がある相手の自宅に行くと、法的にもあまりにも不利です。自宅内部で居住者が来訪者(特に「無理に押し入った人」と見なせる人)に行使した物理的暴力は、法的にも「正当防衛」だとみなされる可能性が高いから。要するに、強盗を居住者が発見して乱闘になって、居住者が強盗を殺してしまっても、仮にそれが「過剰防衛」だったり一定の意図から来るものだったとしても、殺人として問題化されるよりは正当防衛になる可能性が高い、というたぐいの話。事実がどうかということを離れ、法的には証拠の有無が全てなので、その点からも相手の自宅は不利です。*1
 何の話かって、勿論「ラスト・フレンズ」です。


 あと、ドラマの設定の物語内部の文脈だと、タケルが物理的な暴力を屋外で受けた時点で、刑事事件にするしかないかなという気もしました。
 ただワタシ的には、瑠可が及川宗佑に直接文句を言いに行くという展開自体はとてもいいと思うのです。安易に国家の暴力=警察に頼る(刑事告訴)のではなく、自分たちで解決しようとできる限りのことをしているから。ただ、問題は瑠可が1人で及川宗佑の自宅にいったのが失敗。シェアハウスのみんなと、それから及川宗佑の見方になりそうな人と、かつ弁護士とかも同席の上で、はっきりと白黒付けるような話を外で(喫茶店でも、公的施設でも、調停でもいいけどさ)する、というのが民間レベルでできる(そして実は最も「解決」に近い)展開かなとは思います。それでも話がつかない場合は、一定の暴力(国家の行使する暴力である刑事罰とか、個人が行使する暴力とか)が出てこざるを得なくなるかもしれないんだけど。
 このドラマ、最後に誰か死ぬのかな。だとするとそれは「個人が行使する暴力」の展開だけど、確かにどこにでもある話なので感情移入はし易いかもしれないけど、それは悲しいなぁ。


 あと、及川宗佑がやたらと物理的暴力を一方的に振るう展開になってきたけど、「『加害者とみなした人』を悪者にする」「『加害者とみなした人』を他者化する」ということが起きているようで、残念。瑠可も美知留もタケルも、一歩間違えば暴力の加害者側には簡単になった訳で。本当は、シェアハウスの人達と及川宗佑とは50歩100歩だということを認識することが、「私たち」のコミュニティー内部のの暴力と対応するには必要な認識なんだけれども、それを「全く別の人」「一方的に悪い人」みたいに描いたら、「悪い人から一方的に暴力を受ける」みたいな認識になって、結局はダメなんだけどな。


★公式サイト:ラスト・フレンズ


※シェアハウス、広くてうらやましいです(^^;)

*1:及川宗佑による瑠可への暴力を正当化や免罪する意図で書いているのではなく、戦略として下手だということを、赤の他人の位置から無責任に書いているだけなので、あしからず