ばらいろのウェブログ(その3)

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LIKEオフ会


 報告シリーズ第2弾です。てか、ちと遅いですが。
 以前の記事イケメン雑誌「LIKE-boy」で紹介した雑誌「LIKE-boy」のオフ会が5月にあったので、参加してきました。
 実は正直なところ、私が「オフ会」なるものに参加したのはこれで人生2回目。LIKEのオフ会はもちろん初めてなので、どんな感じか楽しみでした。
 私の印象を結論から書いてしまうと、「ちゃんと責任を持って創られていたイベント」でした。とても気持ちよかったです。もちろん久しぶりに「お客さん」として企画に参加している気楽さもありますが、「ちゃんと」主催者が主催者として責任を持って企画が創られていることを感じられ、私もだんだんと安心してその場にいることができるようになっていきました。なるほど、これだから、LIKE誌は部数も拡大し、広がっているんだな、と思いました。




 まず、頂いた案内の紙には、会場にいたる案内と、スタッフの紹介が書いてあります。とってもアトホームな感じです。ビルの入口ではスタッフが待っていてくれて、場所もすぐ分かりました。他のスタッフに引き継いで、エレベーターで会場まで案内をしてくれます。これなら迷いません。会場ではお金を払って席に着きます。奥のステージでは、発売したばかりの新しいLIKE-boy誌の販売や、スタッフ(なのかな?)のお手製のオリジナルTシャツの販売もありました(買って帰って着てみましたが、結構良い感じでした)。出し物も色々あり、飽きません。印象的だったのは、出演者やスタッフが皆楽しそうにしていたことです。まず何より、それにつきます。
 席で話していると、スタッフの人がいろんな人を紹介してくれます。既に何回もオフ会に参加している参加者もいるようで、そういう参加者をスタッフがちゃんと覚えていて、各参加者の関心のありそうなことを話せそうな人と引き合わせたりしているようです*1。「FtMゲイに会ったことがない、自分がそうかもしれない」という人も来ていて、いろいろお話ししました。場の雰囲気としては、そうですね、ゲイリブ初期の感じ、つまりいろんなセクシュアリティーや立場・考え方の人が来ていて、お互いの距離を測りつつも交流している感じでしょうか。今では「ゲイはゲイ」「女子は女子」「ミックスの場」などと嗜好別に別れて場が創られることの方が多くて、それぞれの場には、隠された暗黙のルールや、目指すべき(あるべき)振る舞いの作法などが確立してしまっており、そういう意味で現在のセクマイ系の場は、実は今の私にとっては退屈な場の方が多いです。でもLIKEのオフ会は、そういう感じではなく、トランスといってもいろいろいるということが理念としてではなく現実として目の前にあるので、1人1人が出会う感じがあったように思いました。「トランスなんだから、こうあるべき」「性同一性障害だったら、こうであるはず」とかいう感じではなく、その逆で、1人1人の実感や生き方の方を起点として、出会う感じです。私が気分よく楽しめた理由の一つは、ここにあると思います。


 後半は、実は私はある参加者につかまってしまい(というか、話し込んでしまい)、ずっとその1人の人とヨシノユギさんの裁判のことについて話していました。内容は後で触れますが、そこで私がすごくいいなと思ったのは、私たちが話し込んでいる間にもスタッフが何人も声をかけていってくれたことです。今回私は別にその人と話すのは嫌ではなかったので全然OKだったのですが、特定の人にしつこくからまれたり、場合によっては望まないアプローチをされたりすることは、特にお酒のはいる場ではよくあることです。そういう時、第三者が場に入ってくると、うまく逃げることができたり、NOを言いやすくなったりするものです。イベント内でのセクハラ対策を私自身も考えていたことがあるのですが、そういう観点から見てもスタッフの振るまいが完璧でした。声のかけ方も自然で、正直、感服です。
 その後もスタッフの方と少し話す機会もあって、いろいろ考えたのですが、多分、オフ会の主催側スタッフは、本当にみんなで楽しい場を創りたいと思っているんだと思います。参加者に嫌な思いをしたりして欲しくない、全員に楽しい思いをして帰って欲しい、その為にどうしたらいいかを、ごく普通に真面目にオーソドックスに考えて、それをちゃんと実践しているんだな、と感じました。特に社会運動系の場では、主催者側の無責任なあり方*2に出会うことは全然珍しくないです。自分のことをマイノリティーとか被害者として認識している場合、その不全感や被害感情を補填するために、主催者側の人であってもその責任を自覚できず、場から何かを回収しようとする場合が多いのだと思います。「何をもらえるか、ではなく、自分には何ができるか、を考えよう」とは言ってはいるのですが…
 そして今回のオフ会では、それとは全く異なる形で、主催側の人として責任を持って行動している人が何人もいた感じがあり、とてもうれしかったし安心しました。


 あと、このオフ会は実は私的なつくりになっています。つまり企画の意志決定の過程が一般に公開されておらず、端的に言えば「ボスが存在する」ということです(強権的に振る舞っている人がいる、ということではありません)。これは以前からハヤブサ人生と何度も議論になり、必ず意見が合わなかったことなのですが、私はどちらかというと「一般参加者こそが主権者」「ボスを創ってはいけない」ということを、社会運動の中でず〜っと主張してきました*3ハヤブサは、「民主的なやり方、をやろうとすると、必ず無責任体制になる。そうすると、場でのセクハラや暴力が起きやすいし、その被害は弱いものに行く。すぐれたボスがいて、権力と責任を持っていてちゃんと仕切っている方が、そういうことを防げる」と言うのです。実際、LIKEのオフ会はそういうちゃんとした場になっていました。そしてまた、民主的に創ろうとしている場が実は単なる無責任体制になりやすいことも、私自身の経験からもよく分かります。あ〜負けてる。私もがんばらないと!と、改めて思いました。