警察は、逮捕したい人を逮捕する
先日の関西レインボーパレードの前日に、「こんな事をパレードの最中にして、逮捕されないかなぁ」とかいう相談を受けたりもました。
その時の私の答えは「警察は、『この人を逮捕する』と決めたら、何も違法行為をしていなくても逮捕する。絶対に逮捕されたくなかったら、パレードに参加しないしかない」とか答えたような記憶があります。(今から思うとこれは甘く、仮にパレードに参加しなくても、家まで来て勝手に逮捕されることもありますね)
で、これです。つい先日、10/26に、麻生首相の豪邸を実際に見学に行こうという「リアリティツアー」が東京で開催されたのですが、その時、何も違法行為をせず、現場警察官とも打ち合わせの上で路上を歩いている人が、「公務執行妨害」で逮捕されました。
まずは、現場の映像をご覧下さい。
渋谷署警察官との事前打ち合わせ@ハチ公前
ここでは、渋谷署の課長が「麻生さんの家に行こうというだけならOKだ」と認め、「今日はデモ申請は出していないから(と、デモ申請が出ていなくても歩いて行くことは認めたうえで)車道はいけないからな」と言ってます。
10/26 麻生邸宅見学に向かおうとしたら逮捕(逮捕映像)
この映像では、歩行者天国のところを歩いていて、突然、警察が襲いかかってきて逮捕され、どさくさにまぎれて公安が次々と指示を出して逮捕させているようすがわかります。
10/26 渋谷、逮捕前に打ち合わせするデカ
公安刑事が、事前になんの警告もなく、「公務執行妨害(コウボウ)」をでっち上げて逮捕を指示していることが分かります。
今回の事件については、既に救援会が組織されています。又、集会も予定されています。
- 麻生でてこい!!リアリティツアー救援会ブログ
- 11月6日(木)19時からの抗議集会にお集まりください!!
- 「麻生さんのおうちを見にいこう」のどかな企画に警察暴力―関係者に聞いた現場の真実(Esamanの記事) はてなでの記事
この件で、私が皆さんに知っておいて欲しいと思う点は以下です。
- 警察は、その人が違法行為をしているかどうかに関わらず、『この人を逮捕する』と決めたら、勝手に逮捕します。(だから、「逮捕された人は、何か違法行為や "悪いこと" をしたに違いない」とは考えない方がいいです)
- もちろんこれは現行法から照らしても違法ですが、実際に違法逮捕を指揮し逮捕に関わった警察官が処罰されることは、まずありません。(なぜなら、違法行為を取り締まるべき警察自身が実行犯だからです)
- こういった「でっち上げ」の違法逮捕は、今回だけの例外的な出来事ではありません。昔から最近まで、特に政府に反対する者に対するでっち上げの違法逮捕は、何度も何度も起きています。
- マスコミは、警察発表をそのまま流すので、「警官が暴行された」など事実とは異なる報道が平気でテレビや新聞で流れます。マスコミが嘘の報道をするというのも例外的なことではなく、この手の事件では「いつものこと」です。(特に政府に反対する人に関する報道については、直接、弾圧を受けた人達から話を聞くまでは、報道を信用しない方がいいです)
また、今回の事件については、以下の弾劾/抗議声明が出され、更にそれへの賛同やカンパが呼びかけられています。
■麻生でてこい!!リアリティツアー救援会不当逮捕弾劾声明■
10月26日、反戦と抵抗の祭〈フェスタ〉のプレ企画として実施された「リアリティツアー2--62億ってどんなだよ。麻生首相のお宅拝見」において、3人が逮捕され、現在も留置場に身柄を拘束されたままです。私たちはこの逮捕の不当性をここに明らかにするとともに、仲間を連れ去った警視庁公安部および渋谷署に強く抗議します。
■リアリティツアーの目的
人材派遣会社社長の「ピンハネ御殿」を見学した第1回につづき、今回のリアリティツアーは、その土地だけでも62億円ともいわれる麻生太郎氏の大豪邸を眺めて帰る、というものでした。この間、連日のように麻生首相の金銭感覚をめぐる報道がなされていますが、私たちにもたらされた貧困と格差を解決すべき立場にあるこの人物がどんな暮らしをしているのか、と。しかしこのツアーは、警察によって解散を余儀なくさせられたのです。
■不当逮捕の経緯
午後3時、渋谷警察警備課長は渋谷ハチ公前広場に集まった私たちに「歩道で行くぶんにはいいです」「麻生邸まで5、6名ずつ行く分には構わない」等の連絡をしてきました。私たちは、3、40分ほど、ツアーの告知を行った後、およそ50名ほどで、歩道を歩き始めたのです。渋谷警察署との話し合いのとおりに、風船やプラカードを引き下げ、拡声器も使用せず。
そのわずか5分後、ゆっくりと道玄坂下にさしかかろうとしたそのときです。人ごみのなか、私たちのいちばん前の位置でツアープラカードを目印にもっていた仲間が腕をつかまれ、路上に組み伏せられました。警察は「いけ!いけ!コーボー!コーボー!」を合図にさらに2人の参加者を羽交い絞めにし、3名ともに連れ去っていきました。報道では警察が「再三にわたり警告」したとされていますが、ツアー出発時をのぞいてそのような警告は受けていません。3名の逮捕理由は公安条例(注)違反や公務執行妨害となっていますが、その事実がないことは、私たちが記録した映像にすべて明らかです。また、「参加者が警察に暴行を加えた」といった報道は、警察の意図的な歪曲によるものです。参加者が警察に暴力をふるったという事実などいっさいありません。
■接見妨害と不当な10日間勾留
その後、3人が留置された渋谷警察署に、私たちは不当逮捕を弾劾するとともに、接見と差し入れを求めました。しかし同署は、接見禁止処分がだされていないうちから面会を拒絶し差し入れも拒否しました。また5時ころ到着した弁護士に対しても接見を認めず、到着後2時間にわたって弁護士接見を妨害しました。面会と差し入れが可能になったのは、午後7時を回ってからです。その後、28日になって3名には10日間の勾留と接見禁止処分がつけられました。警察は不当な弾圧を加えたばかりか、接見交通すら妨げ被疑者の法的権利をも公然と蹂躙し、不当な監禁状態を続けているのです。
このような非道を、私たちは絶対に許すことができません。
私たちには、いつから歩道を歩く権利がなくなったのでしょうか。数十名の警官に歩道を歩く私たちを過剰に規制させ、まるで予定していたかのように弾圧の命令を下したのは誰でしょうか?
虚偽の情報をマスコミに伝え、3人にありもしない罪を着せようとしているのは?
警察はいつもこのように、自分たちから仕掛けてきて、その禍いを私たちになすりつける。
麻生首相の豪邸を「見物」されることすらおそれる警察は、私たちの仲間の自由と生活を踏みにじることにはいっさい躊躇がない。
警察は麻生を守る。
ならば、私たちは私たちを守る。
怒りをこめて言う!
3人の仲間を、即時解放せよ!
ツアーへの不当弾圧を、謝罪せよ!
麻生太郎首相は部下の不始末の責任をとれ!
2008年10月29日
麻生でてこい!!リアリティツアー救援会
注)東京都公安条例は「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。(憲法21条)」とした憲法に違反している。だがその条例においてすら「この条例の各規定は、第一条に定めた集会、集団行進及び集団示威行動以外に集会を行う権利を禁止し、若しくは制限し、又は、集会、政治運動を監督し若しくはプラカード、出版物その他の 文書図画を検閲する権限を公安委員会、警察職員又はその他の都吏員、区、市、町、村の吏員若しくは職員に与えるものと解釈してはならない。」(第6条)としている。
わたしたち救援会は、ツアーにたいする今回の不当弾圧に断固抗議するとともに、3名の即時釈放を要求します。抗議声明への賛同をお願いいたします。
声明に賛同します
★賛同
・個人の場合
お名前 ( )
肩書き(あれば)( )
・団体の場合
貴団体名 ( )
★連帯・支援のメッセージ(お願いします)
声明賛同ないしメッセージはasouq(at)sanpal.co.jp に送ってください。
※(at)は@に置き換えてください
★救援会カンパ宛先
・郵便振替 00110-6-317603 口座名 フリーター全般労働組合
※通信欄に「asou」または「あそう」と大きくお書きください
・銀行振込 みずほ銀行 中野北口支店(243)
普 1025488 ヤマグチモトアキ
で、私は先ほど、以下のように賛同メールを送りました。
From: hip[at]barairo.net
Subject: 声明に賛同します
Date: 2008年10月31日 22:49:09:JST
To: asouq[at]sanpal.co.jp
Cc: hip[at]barairo.net
■麻生でてこい!!リアリティツアー救援会不当逮捕弾劾声明■
上記声明に賛同します
★賛同
・個人の場合
お名前 ひびの まこと
肩書き http://barairo.net/
★連帯・支援のメッセージ
今回のあまりに度を超した不当逮捕に抗議します。
そして同様に、刑務所や収容所の中で名も無き受刑者や外国人に対して日常的に行われている暴行にも、国家による殺人=死刑にも、グァンタナモ米軍基地内で行われている「敵性戦闘員/テロリスト」への拷問にも、抗議します。
今回の3人の被逮捕者に対する共感や支援が、単に3人に対する共感や支援に留まるのではなく、日本国内にそして世界中にあまたある「国家による暴力」に反対し抗議する無数の運動と流れに繋がりますように。
(そして更に、社会運動内部における権威主義に反対する流れにも、繋がりますように)
それから、いつか麻生と団交ができますように(^^)/
附記
この企画のそもそもの主催者である「反戦と抵抗の祭〈フェスタ〉2008」ですが、以下の方針を掲げています。でもこれは、不適切だと思います。私がこの企画に参加するなら、まずこれを問題にすることになるでしょう。と、理由まで書くと長くなるので、ここでは結論だけでご容赦を。
【実行委運営上の確認】運動の仲間に組織暴力を行使する人々と警察官および警察への協力者の参加は断ります。
http://d.hatena.ne.jp/festa_hansen/20081008/1223486766