ばらいろのウェブログ(その3)

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「動き始めた政治のなかで社会をほんとうに変えるために」の記録(『季刊ピープルズ・プラン』第49号)


 昨年「動き始めた政治のなかで社会をほんとうに変えるために」というシンポジウムに呼んでいただき発言の機会がありました。そのシンポジウムの記録が、雑誌『季刊ピープルズ・プラン』第49号になって発行されました。小特集の所に掲載です。
 このシンポジウムでは、私はあんまり上手いこと発言できなくて、ちょっとまとまりのない感じになってしまったのですが、雑誌の方ではきちんとまとめてくれています。写真も併せて、いい感じです。


 このシンポジウムの少し前には「クィア学会」も東京でありました。クィア学会の時にも思ったことですし、このシンポジウムの時にも感じたことなのですが、やっぱり東京は、場の雰囲気がなんか(悪い意味で)変です。「一緒に考える」というのが、難しい感じがします。そんな中で、シンポジウムの発言者である栗田さんが、とにかく対話の回路をつなごう、一緒に考えようとしていた、と感じられたことが、このシンポで私には一番よかったことでした。
 この雑誌、京都では「京都大学生協ルネ」で、誰でも定価で買えます。


 他の文章では、「非ブッシュ賞――バラック・オバマノーベル平和賞受賞演説」は、米国/オバマの政治路線を分かり易く分析していて面白かった。また、「これ以上の政治の怠慢は許されない――中国人強制連行・強制労働事件判決の「付言」に見る心ある裁判官達の苦悩と政治家の責任」では、裁判官の「付言」が実は結構意味があることも分かってよかった。さらに「世界社会フォーラム・首都圏分科会 ジェンダー視点からオルタナティブ社会を考える」では、青山薫さんが言いたい放題、というか端的な言い方でものを言っていて、読んでいて気持ちがいいです。例えば「フェミニズムは一枚岩ではないしである必要もないと思っていますが、分断は『敵のせい』ではなくて内在的なものです」「言い古されたことですが、政治的目標の達成を優先するために利益集団の団結をキープする従来のスタイルでは、集団の中の違いとか、互いの関係性や自分自身が変わっていくことには対応できません」とか。運動論として、フェミ+クィアを踏まえた左翼活動をするなら当然の認識に過ぎませんが、例えば在日朝鮮人系の運動の中であまりにイケテない発言が多々出ているのと比べる時、同意できる意見が載っていると、やっぱりうれしい(笑)

『季刊ピープルズ・プラン』第49号(2010年春号)


◎定価1300円+税
 A5版184ページ
 発行・ピープルズ・プラン研究所
 発売・現代企画室




【特集】特集:迷走する鳩山政権――スジを通せ!

  • 特集にあたって(白川真澄)
  • 鳩山政権とは何か、どこに立っているのか

      ――自民党ジームの崩壊と民主党の浮遊(武藤一羊)[PDF]

  • 沖縄は新政権にどう向き合うか(安次富浩)
  • 「常用」と「専門」で穴だらけの派遣労働の原則禁止(竹信三恵子
  • 貫けるか、「暮らしが第一」の姿勢

      ――鳩山内閣の経済政策(山家悠紀夫)

  • 民主党政権下の貧困対策の展望と反貧困運動の課題(村田悠輔)
  • これ以上の政治の怠慢は許されない

      ――中国人強制連行・強制労働事件判決の「付言」に見る
        心ある裁判官達の苦悩と政治家の責任(内田雅敏)

      ――これは外国人への権利の付与の問題なのか(崔勝久)


【小特集】オルタナティブ社会を構想する

  • ピープルズ・プラン研究所11・1シンポジウム

      動き始めた政治のなかで社会をほんとうに変えるために
      (稲葉剛/栗田隆子/山口響/ひびのまこと

      ジェンダー視点からオルタナティブ社会を考える
      (鈴木ふみ/青山薫/船橋邦子) 

  • 成長戦略はいらない――脱成長の経済へ(白川真澄)[PDF]
  • エコロジー経済学の視点で見た社会経済の現状と展望(青木秀和)


【リレー書評】

  • 蓮池透・太田昌国『拉致対論』第2回(長澤淑夫)
  • 小熊英二『1968』第2回(加納美紀代)

他。