ばらいろのウェブログ(その3)

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航空自衛隊のイラクでの活動は憲法9条違反(名古屋高裁)


共同通信の記事


 めでたい話です。裁判官にも、当たり前のことを言う人が1人は居たということは、素直に嬉しいです。
 と思っていろいろ見ていたけど、どうも、自衛隊派兵に反対する人達の判決への喜び方を見ていて、少し違和感。この程度の判決で喜んでしまっては、日本はいつまでたっても変わらないのでは、という気もしてきました。
 だって、判決要旨では確かに「憲法9条違反」と言っている(らしい)けど、実は判決では結局なに一つ国側(日本政府を名乗る組織)に変化を求めていないし、何も変わらないでしょ。例えばここで名古屋高裁が「イラク特措法憲法違反なので無効」とか、「自衛隊派兵は違憲なので直ちに撤退を命じる」とか、しかも仮執行付きで言ってしまうと、国側敗訴なので国が上告するのは確実で、すると最高裁でこの判決はひっくり返るのが予想される、のは確かだけどさ。小泉の「自衛隊が行く所が非戦闘地域」みたいな明らかなご都合答弁がまかり通ってしまう日本ではっきりと「違憲だ」と言ってくれたのは確かに嬉しい。だけど、この程度の判決では、実際に町村や福田が言っているように、自衛隊が撤退する訳ではないです。こういう運動は「自分の気持ちよさ」を目的としている訳では(本来は)無いはずなので、(まぁ、原告や弁護団が喜ぶのは良いとしても)「画期的判決」とまで言って大喜びしている人には、違和感もあります。


 そもそも裁判所の権力で何かを変えようというのが、発想として中途半端なのかもしれません(結局は国家権力に頼っていることになるから)。
 昨日NHKで放送した「人間は尊敬すべきものだ〜全国水平社・差別との闘い〜」で見た事例で、今日改めて思い出している所なんだけど、「部落民であると告げずに結婚しようとしたこと」を理由に1人の部落出身者が誘拐罪で有罪になった事件(高松差別裁判事件)に対して、裁判で争ったり国会で議席を取ろうとするのではなく、判決取り消しを求めて全国水平社が抗議行動を組織したような、あくまで現場レベル/街頭レベルでの運動(デモとか集会とかの示威活動)が、やっぱり必要な気がします。そういう担保があって始めて、裁判闘争や国会といったものが、緊張感を持ってくるんだと思います。(そもそも、自衛隊の派兵に大賛成の小沢を担ぐ民主党が、真面目にこの判決を利用して政府にものを言うとは思えないしね)
 繰り返すと、この程度の判決で大喜びするのではなく、この判決だけでは何も変わらないという事実をちゃんと見て、こういう判決をも利用して自衛隊の撤退を実現する現場の運動を創らないといけないな、ということを、改めて思った次第です。


 あと、この裁判の原告が名前から見る限り在日朝鮮人であろうことも、訴訟提起すらしていない日本国籍を持つ日本人としての私との対比で、ちょっとやられた感じ(苦笑)。
 

以下、原告側からの情報です。


※「判決理由用紙要旨」追加しました