ばらいろのウェブログ(その3)

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同性カップルを含む全て人への差別に反対するためにこそ、私は「同性婚を含む結婚制度に反対」 と主張します


 今年の関パレ(関西レインボーパレード)&フェスタで、「日本人中心主義と同性婚の問題点を考える会(仮称)」名義でブースを出して、以下のチラシを配布しました。遅くなりましたが、こちらにも掲載します!



同性カップルを含む全て人への差別に反対するためにこそ、私は「同性婚を含む結婚制度に反対」 と主張します

日本人中心主義と同性婚の問題点を考える会(仮称)
hip【あっとまーく】barairo.net 090-1156-3039 ひびの まこと
ブース出してます!意見交換したいです!


 「私たち」の運動は、これまで性やライフスタイルの多様性を社会に訴えてきました。今の社会では、異性同士の性愛を選んでいる人たち、異性同士で同居し、支え合い、セックスし、暮らしている人が多数派であるのは事実。でも、なぜそういう生き方をする人たちだけを想定して社会を作るのか。異性関係のみを優遇する社会制度、異性関係を教え込む教育やメディア、つまり異性愛中心主義の社会制度と文化に対して、異議申し立てをして来ました。ポイントは「仮にそれが社会の多数派の生き方であっても、特定の生き方(例えば異性愛)を優遇したり推奨したりすべきではない」つまり「仮に社会の多数派が望んでも、社会全体で目指すような『望ましい生き方』を設定するな」「多数派による社会の私物化を許さない」ということです。多数派の都合に基づいて多数派のために制度や文化を作るべきではなく、出来る限り、多数派であっても少数派であっても対等に扱われる社会、多数派に同化しなくても少数派が少数派のママで生きられる社会を、私たちは目指すべきではないでしょうか。


 これと同じ理由で、私は、結婚制度(同性婚を含む)にも、反対です。
 もし「結婚する事」によって、社会生活を送る上で何らかのメリットを手に入れる事が出来るのであれば、それは結婚に人を誘導し、結婚を推奨し、場合によっては人に結婚を強いる社会的な圧力にもなります。そしてそれでも結婚しない人には「なぜ結婚しないの」「結婚しないのなら仕方ないね、自業自得」と、不利益が押し付けられます。
 今の社会では「結婚する」というライフスタイルを選択したい人が多数派であるのは事実でしょう。でもなぜ結婚したい人の都合ばかり優先するのでしょうか。同性同士の性愛を大切にしながら生きている人にも、結婚をしたい人もいますが、結婚したくない人もいます。一人の人と恋をして付き合ってセックスして同居して結婚するーそれが幸せな人生。こういうライフスタイルをしたい人はすればいいですが、このようなライフスタイルが、ただ単にそう望む人が多いというだけのことに留まらず、「当たり前」「お祝いするおが当然」だと扱われている現状、そしてその認識を前提に社会の制度が作られている現状には、我慢ができません。
 結婚することによって得られるメリットとは何でしょう。例えば、遺産や保険金を受け取る権利、刑務所での面会権、配偶者ビザの取得などのことでしょうか。ではこれらの権利は、「結婚した人だけ」が得られればいいものでしょうか。逆にいうと、結婚をしない人にはこれらの権利は認められなくてもいいのでしょうか。現在の日本では、結婚制度は、人であれば当然だれでも行使できるべきこういった権利を、「結婚した人」にだけ制限する(制限しようとする)たぐいの、そもそもが差別的な制度です。
 【結婚特権:結婚したら権利をあげるよ】というのが現在の結婚制度です。その特権を享受する資格が異性間に限られているのはひどい、同性同士でも「結婚する人」が結婚特権を享受できるようにしてほしい!そんな、特権を要求するたぐいの運動は、果たして本当に「全ての人」の平等を目指す運動たり得るのでしょうか。もし同性婚の目的が異性愛特権の廃止であるのなら、ぜひ一度、結婚制度の廃止(反婚)や、結婚制度に代わるしくみ(私的関係を個々人が自由にアレンジして契約できる仕組み)の可能性を、真面目に考えてもらえないでしょうか。同性婚に賛成の人に考えてほしい1番の点は、この点です。
 実は、結婚特権との闘いは既にあります。結婚していない夫婦の子供が相続時に差別される婚外子差別裁判は、つい先日最高裁違憲判決が出たばかりです。また結婚しない異性カップルの地道な取り組みがあったからこそ、住民票にさえ記載されるくらい、内縁関係が広範囲な法的な保護を受けるに至っています。パートナーシップを保護する、同性関係の権利を獲得するという時の道筋は、同性婚以外にもたくさんあります。


 実は結婚にはいろんな側面があります。上に書いたような社会制度としての結婚(結婚特権)以外にも、パートナー関係のあり方としての結婚もあります(「付き合う」「恋人」とかと同様の私人間の約束の名称)。でもこれは、例えばディズニーランドで結婚式をあげた同性カップルがいたように、(異性関係のようにどこでも自在にという訳にはいきませんが)今でも性別を問わず自由にできます。この意味では「同性婚は今すぐ可能」ですし、結婚したい人はじゃんじゃんしてください。他人の人生のことなので、私は特に反対とかしません。でも、結婚をお祝いするおが当たり前であるかのような言い方は、止めてください。


 同性婚を求める意見には、最初の「私も結婚特権がほしい」という主張とは別に、もう一つ文脈があるように思います。特に、結婚するとどういうメリット/デメリットが有るかを丁寧に検討したことがないのに、同性婚を認めてほしい、と思っている人に多いと思うのが「とにかく何でもいいので、同性同士の性愛のあり方を『公的な形で』認めてほしい」というものです。「性同一性障害者の性別変更の特例法」が成立してから一気に性同一性障害GID)の社会的認知が拡大した歴史を知っていれば、とにかく一度、法律などで、同性関係を公的に認めてほしいと思うのはあり得ることですし、一定の説得力があります。
 でも考えてみてください。それは同性婚という手段でしか実現できないものですか。もし本当に「全ての人に平等な制度や社会」を考えるのであれば、同性婚の実現ではなく、結婚制度をなくす事をこそ、目指すべきなのではないでしょうか。
(そしてそれでもまだあなたがどうしても同性婚を実現したいのなら、結婚制度を特権のない制度に作り変えること、結婚しなくても同じ権利が得られるようにすること、結婚しても得られるメリットがないようにすることも、同性婚を実現したい人自身が引き受けるべき仕事であることは、覚えておいてください。)

同性婚あるある●

同性婚をするのは同性愛者
   →違います。既に様々な性指向の人達が異性婚をしています。同性婚ができるようになっても、様々な性指向の人達が様々な理由で同性婚をするでしょう。
同性婚は結婚制度の差別性を解体する一歩になる
   →一歩にはなるがその先には行かない。同性婚は、結婚制度の中の異性愛主義を解体しますが、それ以外のことは解体しません。そして同性婚を欲する人の多くは、異性婚を欲する多くの人がそうであるように、そもそも結婚制度自体に賛成していることが多く、結婚制度を解体したいとは思っていません。

リネハン米国総領事は、なにか悪いことしたんですか?

質問者:リネハン米国総領事は、なにか悪いことしたんですか?
ひびの:私はよく知りません。
質問者:じゃあ、なぜリネハン領事にいろいろ言うんですか?
ひびの:米国政府を代表している人として、ここに来ているからです。
質問者:え??
ひびの:同性婚をしているゲイのカップルなんていくらでもいます。リネハンさんは、米国領事だから、発言の時間を与えられています。リネハンさんが人として何か素晴らしいことをしたから発言時間を与えられているのではありません。
質問者:まぁ、そうだね。で、何が言いたいの?
ひびの:米国政府は世界最大の人権侵害大国の一つです。イラク侵略戦争での大量殺人やグアンタナモ基地での拉致監禁は有名ですし、沖縄の米軍基地やオスプレイ配備も身近な問題です。そういうことをしている政府の代理人が「米国政府は人権を大切にしています」と言うのには強い嫌悪感を覚えたのが最初です。
質問者:リネハンさんを追い出したいの?
ひびの:今はその意図はありません。
 私は、まずリネハンさんの個人としての意見を知りたいと思いました。もし本当にリネハンさんがLGBTの人権が大切だと思うのなら、その思いは、イラク空爆されるLGBTや、沖縄のLGBTの人権をも尊重することに繋がるべきだからです。リネハンさんが、米国政府の内部において、例えば沖縄の人たちの人権を尊重する立場からオスプレイ配備に反対する意見をオバマに伝える、そうなればいいと思っています。
質問者:なるほど。
ひびの:そのためにも、まず日本の私たち一人一人が「オスプレイ反対」の意見をリネハン領事に対して事あるごとに伝えるべきです。
質問者:だからポストカードを配ったんだね。
ひびの:ゲイの領事がいるからって、米国が人権を守る国だってことにはなりませんよね?LGBTの人権を掲げるんだったら、率先して他の人権も問題化していくような、そんなLGBT人権運動であるべきです。そしてもしリネハン領事が、例えばオスプレイ配備を開き直るのなら、もちろん強く抗議していくことも必要でしょう。



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